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2010年の4月に書いた詩 4篇
青い魚
属して埋もれそうになったとき
限界になって息継ぎをするために
積み上げられた虚構の取り決めを
取り決め直すために
距離を取ってその場を後にする
辿り着くのはいつでも決まった場所
青い魚が支配する世界
水と空気が世界を分けて
太陽が世界を強制する
そこでは人の作ったルールなどは何の効力も持たない
ただただ青い魚が大きなうねりの中で
気配を溶かしながら世界をひとつにしてゆく
そんな所在をいつまでも眺めていると
取り決めが懐かしくなって
埋もれてしまう事を承知で
またどこかに属してみようかと
気が付くと世界は明けていて
新しい取り決めが積み重ねられてゆく
青い魚は次に息継ぎをするその時まで
待っていてくれるだろうか
青い魚 2
透き通った青い身体はつるりと翻り
微かに身体の色を残して軌跡が空間を波立たせる
同じ世界に在って異なるもの
一枚のレイヤーを隔ててすぐそばに在りながら
簡単に行き来のできない世界に住む魚
想いがその身体に植物を芽吹かせ
願いが花を咲かせる
好奇心の赴くままに世界を眺め
世界を感じ
微睡んだ空気を溶かす風となって
世界を駆け巡る
線引き
長く伸びた鼻先が触れた場所に
心の境界線が引かれていく
もじょもじょと長く伸びた鼻先を揺らしながら
無作為に引かれたその線が
世界に協調と対立を作り出してゆく
黄色い魚はただただ夢中になって
線を引き続けるだけ
花島
一日中薄ぼんやりとした光りに包まれ
夜の闇にも太陽の光にも影響を受ける事のない
花の楽園
何者にも知られる事なく
支配される事なく
ただ在り続けるだけ
飢えも渇きも
嫉妬も猜疑も対立も孤立も不安も
どこか遠い世界の絵空事
ただ咲き乱れ
欲情を垂れ流す
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昨今の情勢を受けて、外出自粛が続く限りアマビエ(的なもの)を描き続ける事に致しました。併せて、この期間中にアップしたアマビエ(的なもの)は全てフリー素材としてご提供させて頂きます。
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